大学生でも社会人でも文章を書く機会は多いと思います。
ここで言う文章というのは論文や企画書など、自分の知識を独自のアイデアとしてアウトプットするという意味での文章です。
論文であれば題材、企画書であれば商品開発や新サービスの提案など、ある程度書くことは決まっています。
ある程度決まっているとはいえ、1から自分の考えを書き出すのは難しいことだと思います。
今回はそのような悩みを解消する『思考の整理学』という本をご紹介したいと思います。
『思考の整理学』
僕も書店で平積みされているのをよく見かけるので、タイトルだけは見たことがある方も多いでしょう。
2015年の東大、京大、早大の生協の文庫本ランキングで上位にランクインしていたことでも有名です。
そして驚くべきことに、この本の初版は1986年です。
そんなに昔からあるのに、未だに書店で平積みにされているのは極めて稀です。
それだけ価値のある内容なのは間違いないと思いますので、ぜひ手に取ってみてください!
文庫本サイズで220ページほどなので、だいたい2~3時間くらいで読み終わると思います。
概要
今回紹介する『思考の整理学』の著者は、大学の助教授・教授として学生と接する立場でした。
学生から論文をどう書けばいいのか、何を書けばいいのかわからないという相談が絶えなかったそうです。
そのため、論文を書くためのアイデア整理方法を教える必要があると考え、『思考の整理学』を執筆するに至りました。
大学生にだけ有用な話かというとそうではありません。
論文であれ、何か新商品の企画であれ、アイデアを捻り出すための下準備について非常にわかりやすく、具体的にまとめられています。
注意点としては「今すぐに良いアイデアを出してまとめる文章にまとめることができる夢の方法ではない」ということです。
普段インプットしている情報から、いかに自分のアイデアとしてアウトプットするのか、ということについて述べられています。
思考の整理学
著者:外山滋比古(とやま・しげひこ)
発行所:株式会社 筑摩書房
1986年4月24日第一刷発行
著者:外山滋比古について
外山滋比古
・英文学者として活躍
略歴
・1923年生まれ
・愛知県出身
・東京文理科大学 英文科 卒業
・56年に東京教育大(現:筑波大)助教授
・68年からお茶の水女子大教授
・89年から昭和女子大教授
・2020年胆管がんのため死去
論文(アウトプット)はいかにして生み出すのか
自分なりのアウトプットを生み出すにはまず、素材(インプットした情報)が必要です。
アイデアというのはインプットした情報の掛け合わせによって生まれます。
少し抽象的ですので具体的なもので考えてみましょう。
防犯カメラを例に挙げたいと思います。
防犯カメラのアイデアというのは次のように分けられると思います。
「警備員(見張り)× カメラ」
このようにアウトプット(今回の例では「防犯カメラ」という製品)のもとになる情報が素材にあたります。
それらの素材に対して、「警備の手間を省くために一人で複数箇所の状況を見たい」、「過去の状況をだれが見ても後からわかるようにする」などの「アイデア」を「素材」と合わせることで自分独自のアウトプットに仕上げることができます。
しかしながら、素材をいくら集めてもそれらを結合できなければアウトプットできません。
そこで、必要になるのは「時間」です。
『思考の整理学』では、ビール造りを例に挙げていました。
「素材」は麦、「アイデア」は酵素。
これらをただ混ぜるだけではビールにならず、発酵を待たなくてはいけません。
どんなにいい素材といかにすぐれた酵素とが揃っていても、いっしょにしたらすぐにアルコールになるということはあり得ない。
『思考の整理学』外山滋比古 p.32
頭の中の醸造所で、時間をかける。あまり騒ぎ立ててはいけない。しばらく忘れるのである。
つまり、集めた情報と自分のアイデアを結合させるために時間を置くことが必要ということです。
自分独自のアウトプットを出そうとすると、やはり時間がかかります。
インプットを意識的に行い、それに対して自分のアイデアを考える、すなわち「醸造」の数を常に増やしておくことがより良いアウトプットにつながると思います。
補足
これでこの本は終わりかというと、そうではありません。
この本では、素材とアイデアの発酵、すなわちアウトプットのための情報の整理方法も述べられています。
ノート術といってもいいと思います。
この本を参考にすれば、きっとアウトプットが苦にならなくなります。
終わりに
今回は『思考の整理学』という本を紹介しました。
どの章も読みやすく、大事なことが書かれています。
この本がランチ代くらいで手に入るのは驚きです。
面白いので是非読んでみてください!
最後まで読んでいただきましてありがとうございます!
また他の記事でお会いしましょう!